太田圭亮太田圭亮
市場営業部 太田 圭亮 [2010年入社]
日本国内においてはもちろん海外を見渡してもSMBCほどディーラー個人に権限を委譲している金融機関はほとんどない。自らポジションをとることができる権利は反面、責任として大きくのしかかってくる。ディラーは孤独だ。でも、だからこそチームが大事なんだ、とあるディーラが熱を込めて語ってくれた・・・日本国内においてはもちろん海外を見渡してもSMBCほどディーラー個人に権限を委譲している金融機関はほとんどない。自らポジションをとることができる権利は反面、責任として大きくのしかかってくる。ディラーは孤独だ。でも、だからこそチームが大事なんだ、とあるディーラが熱を込めて語ってくれた・・・

多彩なバックグラウンド、多様なやり方、個性あふれるチームが自分の相場観を研ぎ澄ませてくれる。多彩なバックグラウンド、多様なやり方、個性あふれるチームが自分の相場観を研ぎ澄ませてくれる。

映画などの影響により、
ディーラー=「孤高な業務で殺伐としている」、
そのようなイメージを抱く方が多いかもしれません。
私自身、別世界の人間のような目で
見られた経験も一度や二度ではありません。
しかし、私もどこにでもいるイチ銀行員です(笑)。
確かにSMBCは、日本国内はもちろん
海外を見渡しても他にはほとんどないほど、

ディーラー個人に
大きな権限を与えてくれる企業
です。
そのため、責任も大きく、
マーケットと対峙するときは孤独です。
それは間違いありません。
しかし、それは一面に過ぎず、
プロであればあるほど、第一線で走れば走るほど、
ディーラーに最も大切なことは
相場観を研ぎ澄ましていくこと。
そして、そのためには、
個と個の価値観の衝突、切磋琢磨が必要です。
数学的素養やアルゴリズムを駆使する者もいれば、
相場に張り付いて相場の呼吸を感じ取る者もいる。
また、異なるバックグラウンドの個人は
世界への視線も様々。
そのような多彩な人々が日々、
語り合い、議論し合う、
それはマーケットに向かう同志とも呼べる
チームといえます。
ディーラーはチームプレイの仕事なんです。

太田圭亮

日系企業のプレゼンスをグローバルマーケットの中で高めていきたい。

ディーラーの仕事というと、
自ら取引を行い、収益を生んでいく
「自己勘定売買」を
思い浮かべるかもしれませんが、
もう一つ重要な業務があります。
それは、担当しているプロダクトの価格を
お客さまに提示していく
「お客さま向けのプライス提供」。
提示した価格が約定となれば
自らのリスクとして引き受け、
ディーラーの裁量でマーケットヘッジしていきます。
これは日本を代表するような企業
がお客さまであり、その金額も大きい。

1兆円にのぼることもあります。
SMBCでは為替や金利をはじめとした
各プロダクトにおいて
ボードディーラーと呼ばれる人が
対顧客取引を一手に引き受けています。
ボードディーラーはSMBCの代表として
インターバンク市場と対峙し、
大きな取引を行うため、
毎朝マーケットに関わる
他金融機関の担当者から観察されます。
その中でお客さまのディールを
出していくということは、
そのお客さまが
マーケットの中で問われることでもあり、
半端ないプレッシャーが存在します。
しかし、私がマーケットで
より上手くカバーする事ができれば、
お客さまにより良いプライスを
提供できるようになり、
つまり、日系企業の
プレゼンスに貢献できる仕事
ともいえます。
たとえば、私が担当しているプロダクトに
為替予約という
為替の取引レートを
何年間か押さえておくというものがあります。
2022年、日本は円安の流れの中にあり、
年初から30円、40円という単位での
値幅が出ました。
この流れを事前に予測し、
ヘッジしていく様々な提案を行っていきます。
実際は年前半に、
ここまでのスピードで円安になると思いきれず、
もっといい所で為替ヘッジができたのではと
反省するところも多々あるのですが、
それでも及第点は取れたと思っています。
自分を磨き、さらに相場観を研ぎ澄ましていく、
そのことこそがグローバルの中で日系企業の
プレゼンスを高めていくことにもつながっていく、
そう胸に刻んで
これからも取り組んでいきたいと考えています。

情報の優位性、それがまったくない世界で自分のポジションを表現していく。

先程は担当しているプロダクトの話をしましたが、
現在、ディーラーとして私が担当しているのは
米金利です。
その前は、円金利を担当していました。
円金利、米金利、同じ金利でも
まったく戦い方が異なっています。

円金利は日本。
その中で、邦銀であるSMBCは、
マザーマーケットで多様なネットワークを通して、
他が持っていない情報を有しているとともに、
日本国民の価値観把握や
マーケットアクセスという意味でも
情報の優位性を築いています。
一方、米金利となると
情報の優位性に基づいた戦いができません。
経済状況や金融政策など
一般的な情報をもとに自分のポジションを
表現していかなければならない。
そこでは、世の中の流れや動きを
もっと本質に戻って問い直すことが
必要
になってきます。
たとえば、先程話した円安は
アメリカの利上げとともにありましたが、
当初、アメリカ政策当局の動きや
マーケットの空気に
私たちは違和感を抱いていました。
様々なデータを見ても、
もっと利上げをしなければいけないのに、
動きが鈍い。
しかも、マーケットもこれでよし、
みたいな動きをしている。
その中で私たちは、本当にこれでいいのか、
と問い直し、議論を重ねました、
そして得た結論は、「もっと利上げに動く」。
それにより会社としての
方向転換を図ることもできました。
その後の結果は、2022年春以降、
米FRBによる相次ぐ利上げ(※)と
皆さんがニュースなどで目にした通りです。
様々な情報を集めながらも、
自分たちの「違うのでは」という違和感を大事に、
「本当にこれでいいのか」を突き詰めていく、
それこそが、情報の優位性がない
米金利という舞台での私たちの戦いなのです。 ※2021年に米FRBは、インフレは一時的だとして利上げは必要ないスタンスでしたが、年末にかけて撤回。
2022年春から冬までで政策金利を0%から4%半ばへと歴史的なスピードで利上げしました。

太田圭亮

大学時代は微生物研究。自分の数字が自分に跳ね返ってくるそんな世界で生きていきたかった私がみなさんに最後にお伝えしたいこと。大学時代は微生物研究。自分の数字が自分に跳ね返ってくるそんな世界で生きていきたかった私がみなさんに最後にお伝えしたいこと。

ディーラーの世界には、
多彩なバックグラウンドを持つ人がいる、
と話しましたが、
私自身、
大学時代は微生物の研究をしていました。
ただ、何年も一つのことに
取り組んでいく研究者より、
もっと刺激にあふれた
世界で生きたいと思いはじめ、
企業への就職を希望。
その中でも、自分で取り組み、それが自分に
跳ね返ってくる世界で生きたいと思って
銀行を志望しました。
そして今、ディーラーとして働いているのですが、
入行当初の希望は法人営業。
東神戸で2年、法人営業を経験しました。
みなさんの中には、ディーラーになりたい人も、
もしくは専門部署で働きたい人も
いるのではないでしょうか。
そのような方は、早くからその専門部署で
働きたいと思っているかも知れません。
ですが、私は少しでも、
できれば法人営業を経験してほしいと思うのです。
実際にお客さまと直接向き合った経験、
それはすごく大きい。

本部にいるとお客さまの顔は見えません。
案件があがってくるだけ、
そしてそれは案件としか見えなくなります。
しかし、実際に法人営業を経験すると、
その案件の背後にある汗とか議論とか、
もっと言えばそこに人がいることとか、
想いが存在することとか、
そういうものが実感できる。
そして、自ら汗をかくことで、
その大変さも身にしみてわかる。
それがわかっているかどうかによって
どんな専門の道を歩もうとも、
歩み方と成長速度が大きく変わってくると思います。
そして、それは、銀行という
このフィールドで働く中ですごく重要なこと。
私が対峙するマーケットの先に、ITやDXの先に、
お金という数字の先に
何があるかを想像する力にもなる。
これから採用的には直接、専門部署へ、
本部へということも多くなるかもしれません。
それでも、少しでもそのような経験ができる場を
見つけて大切にしてほしい、
一歩現場に踏み出して少しでも体感してほしい。
そして、たとえ体感できなくても先に何があるのか、
想像してほしいと思うのです。

※掲載の仕事内容、役職、所属は取材当時のものです。