三井住友銀行 Olive開発プロジェクト

世の中のニーズや他社サービスの分析、そして何よりもSMBCグループとしての独自性にこだわり、検討が繰り返されていった。

三井住友銀行の口座、クレジット、デビット、ポイント払いなど、多様な機能がまとまり、キャッシュレスが見える、まとまる、使い分けられるコンセプトは今までにないものだった。

この会議で決まった案件は、即断即決で進み、承認とともに予算もつくため、スピーディな事業展開が可能になる。当プロジェクトもCDIOミーティングにより予算を取得した。

予算取得により現実に動き出した「Olive」プロジェクト。まず、取り組んだのがシステムの要件定義。

「Olive」で目指していたのは、銀行機能と特典システムを備えた新しい金融サービス。

そのため、口座開設、入出金、振込、残高照会、明細書など、どのような銀行機能を、また、ポイントプログラム、キャッシュバックプログラムなど、どのような特典プログラムを「Olive」に組み込んでいくか、いかにお金の管理や資産運用が便利で楽しくなるか、その視点で検討が開始された。

1枚のカードでキャッシュカードの機能とクレジットカード、デビットカード、ポイント払い（プリペイドカード）の機能をアプリで切り替えできるサービス。その開発が開始されたのがこの時期だった。

パートナーであるVisaにとっても、先進諸国の中でキャッシュ率比率が低い日本において、いかに会員体験を向上させていくかに向けた非常に重要な取り組みであった。

検討によって定められた「Olive」に組み込まれる銀行機能は、口座開設、入出金、振込、残高照会、明細書、振替設定、自動引落、カード発行、カード利用明細、ポイント管理、キャッシュレス決済、投資、保険、ローン、住宅ローンなど。

また、特典プログラムは、ポイントプログラム、キャッシュバックプログラム、割引プログラム、抽選プログラムなど。このような多彩な機能・特典プログラムの開発がスタートした。

UATとは、ユーザーがシステムを実際に操作して、不具合や問題点を洗い出すこと。システムリリース後のトラブルを防ぐためにも、重要なテストだった。

リリース前のテスト、UATとともに並行して行われたのが、ローンチを見据えたプロモーション計画の策定。

事前キャンペーン、プレ告知、PR発表会、ニュースリリース、TVCM、芸能人やインフルエンサーとのタイアップ、インフォマ等、どのようなプロモーションを展開していくか、各種メディアの活用と訴求内容を検討していった。

実際の運用を行う前に、システムの運用や保守を行うシステム担当者が、実際のユーザーとしてシステムを実際に運用し、問題がないかを確認していくシステム関係者本番が開始。システム完成に向けた最終確認の段階といえた。

経営会議における承認、金融庁報告などとともに、広く新サービスを告知していくためのPR発表会準備が進められていった。

PR発表会では、株式会社三井住友フィナンシャルグループ執行役社長グループCEOなどが登壇し、従来の金融・決済の概念を打ち破る、まったく新しいサービスである「Olive」についての概要やコンセプトをプレゼンテーションするとともに、サービス内容の解説、そして、各パートナー企業も登壇。Oliveが3月1日にリリースされることを広く社会に告知した。